中央自動車道の塩尻ICを降りて、国道を車で10分ほど。大きな交差点の一角に見えてくるのは「株式会社立石コーポレーション(以下、立石コーポレーション)」が運営するガソリンスタンドです。今からおよそ70年前、終戦直後の車も珍しかった時代から、「株式会社立石コーポレーション」はいち早く石油製品の販売事業に着手。後に、生活必需品となっていく自動車の燃料事業を推進してきました。
2018年に経営のバトンが3代目代表取締役である立石宗一郎(たていしそういちろう)さんに手渡されて以来、同社はガソリンスタンドの事業だけでなく、車の整備や自動車販売、コインランドリーやフィットネスジムなど、生活インフラに関連するさまざまな事業に取り組んできました。
今回の求人は、同社に新設される経営企画室のメンバーとして働く将来の幹部候補。脱炭素やEVへの転換に向けた動きなど、産業構造が著しく変化していくなか、次の10〜20年の会社のあるべき姿や経営を一緒に考え、走っていく仲間を求めています。
いつの時代も、社会の変化を感じ取りながら、地域のお客様のニーズに呼応した事業づくりに励んできた「立石コーポレーション」。転換期を迎えようとしている今、経営陣が日々どんなことを考えているのか、これから一緒に働いていく仲間に求めることは何か、3代目代表の立石宗一郎さん、リテール事業部部長の麻生智晃(あそうともあき)さんにお話を聞きました。
組織の歴史や風土、立石さんの生い立ちを知る前回記事はこちら
途上国で見た子どもたちの笑顔を、いつも胸に。暮らしを豊かにする事業づくりで、地域社会に貢献する
ガソリンスタンドからフィットネス事業まで、幅広い事業展開で地域の生活インフラを担う企業へ
本社がある塩尻市、松本市近辺を中心に、長野県内で9店のガソリンスタンドを運営する「立石コーポレーション」の来客数は全店合計で毎月18万人ほど。ガソリンの販売量とともに、県内トップクラスを誇ります。
立石さん「私たちの強みは、長年培ってきたお客さまとの信頼関係があることです。それをベースに、どんなサービスでも展開できるポテンシャルがあるからこそ、お客様の『自分の住んでいる地域にこんなサービスがあったらいいな』を実現できる事業をしたいと考えています。」
2018年、立石さんが3代目代表取締役に就任してからは、以前からアイディアを温めていたライフスタイル事業に着手。商店街の賑わいづくりにつながるようなカフェやランドリー事業の立ち上げを皮切りに、天然酵母や無添加素材にこだわったベーカリー事業、24時間365日稼働するジムの運営など、さまざまな事業を次々とスタートしていきました。
なかには、2020年初頭からの新型コロナウイルスの感染拡大の影響で休業を余儀なくされた事業もありましたが、ランドリーやジムの事業は地域の潜在的なニーズとマッチ。現在は、コインランドリーが11店舗、ジムが3店舗と、店舗数は年々増加しています。
立石さん「先代である父は『うちは環境対応業だ』と、よく話していました。世の中が変容するなか、既存事業だけに閉じこもっていることはリスクです。社会における変化の兆しを感じ取りながら、時代に求められる価値を提供していく必要がある。創業以来培われてきた『立石コーポレーション』への信頼を基盤に、これからの時代に求められるものは何か、日々考え続けながら事業をおこなっています。」
3代目の立石さんの経営のもと、“環境対応業”としての「立石コーポレーション」の在り方は今後どのように変わっていくのか。立石さんは、その一つのキーワードとして「コングロマリット」を掲げています。
コングロマリットによる事業間の相乗効果が経営戦略の新たな鍵となる
コングロマリットとは、異なる業種の複数の事業が経営統合を行い、1つの大きな企業体を形成すること。
立石さん「ガソリン業界は基本的にどこも同じ商材を売っているので、お客さんの立場になって考えてみても、究極的には、1リットル当たり何キロ走るかという価値基準でご購入の判断をいただきます。他の小売店でいうところの、品揃えの良さなどが付加価値になりにくい特殊な業界だと思っています。」
コングロマリット企業化することでのメリットは、異なる業種の事業を連携させることにより生まれる相乗効果。これによって、企業としての競争力を高めることも期待されます。
例えば「立石コーポレーション」のガソリンスタンドで車検をするとガソリン代が割引になったり、ジムやランドリーを使うことで他のサービスがお得になったりと、コングロマリット企業化が進むことで、お客さんに提供できる価値も増えていきます。
立石さん「事業間のシナジーが生まれやすいというか、お客さんから見ても異なる事業が一体となって『YOUMEX(ユメックス)グループ』として捉えていただけるようになります。『YOUMEXって見たことあるよね』とか、『YOUMEXだとなんとなく安心感あるよね』と一つのブランディングとして選んでいただけるような状態を目指せたらと考えています。」
コングロマリットの構想は以前からあったものの、「実際に実行するフェーズまで行き着くまでは、長く試行錯誤の日々が続いた」と、振り返る立石さん。そのプロセスについて詳しくお話を聞くため、立石さんが入社する前から「立石コーポレーション」で働いており、現在は主幹事業であるガソリンスタンド事業を中心にさまざまな事業を手がけているリテール事業部の部長である麻生さんも一緒にお話を聞きました。
事業継承後の組織の大改革で気がついた、自ら動いて結果を出すことの大切さ
麻生さんは、以前は本や雑貨、CDなどを売る小売店で店長をしていたという経歴の持ち主。前職の経験を活かして営業企画を担当してみたいという気持ちから、2016年に「立石コーポレーション」に入社しました。
麻生さん「この会社で働きたいと思った理由は、小売店の店舗経営を通じて培ったいろいろな経験を、より大きな会社の組織経営に活かせるような仕事をしたかったからです。」
しかし、当時の組織は代表取締役の他、管理職は課長クラスが1名のみ。事業の意思決定からイベント企画まで、ほぼ全てトップが決める形だったといいます。
立石さん「それまではほぼワンマンな形で乗り切っていた先代も、体力の衰えなどもあり、事業や組織の拡大を目指していくなかで無理が生じていたのかもしれません。さらに、僕が入社することが決まってから『環境整備をしなければ』と急いで人事異動するなどしたため、社内では混乱が広がっていたようです。入社直後に社員から『あと1ヶ月遅かったら社員の半数がやめていたかもしれない』と言われたほどで、この時期の社内はかなり危機感が漂っていました。」
その最中に開催されたのが、四半期に一度、組織全体で開催しているクオーターミーティング。事業継承を控えた立石さんが管理職クラスの社員全員と話す場でもあり、営業企画を希望して入社した麻生さんにとっては、自身が考えるガソリン事業の展望について口にする初めての機会でした。
麻生さん「当時の弊社のマーケティングというと、チラシ配布などのアナログ形式が主流だったので、LINEなどのSNSを活用したデジタルマーケティングなど、もっと違うやり方があるんじゃないかと思っていました。そこで、せっかく社長と直接お話する機会があるのならば『言うだけ言ってみよう』という気持ちで、自分が目指すガソリンスタンド事業のあり方をお伝えしたんです。」
持続可能な組織を実現するためにも、経営の安定化や業務の効率化は急務。特に、主幹事業であるガソリンスタンドの状況が気になっていたという立石さんにとって、麻生さんからの提案は心強いものでした。
その後は各店舗を回って売り上げのKPI(重要業績評価指標)などの数字を具体的に詰めたり、業務に必要な資料の雛形の配布や会議のやり方を変えたりするなど、実務レベルから組織の改革に着手した立石さん。同時並行で、クレジットカード登録や割引キャンペーンなどのイベントも社員と一緒に企画・運営しました。
立石さん「僕としては経営も見なければならないので、ずっと現場にいたわけではないのですが、とにかく社員の気持ちを理解しながら、自らも行動して背中を見せられる状況をつくろうと必死でしたね。」
信頼を得るためには、経営者自身が結果を出すために奔走する姿を見せていく。こうしたマインドセットはマネージャー陣にも浸透しています。
来たるべき脱炭素時代に向けて。10〜20年後も求められる企業をつくり続ける
ここ数年は、事業規模の拡大にも耐えうる組織を組成するため、幹部人材を急ピッチで採用するなど、体制の強化に努めてきた「立石コーポレーション」。麻生さんも、体制の変化のなかで、SV(課長代理)として現場をマネジメントする立場から本社勤務の管理職である課長に抜擢されました。
しかし、創業から70年の歴史ある企業において、比較的勤務暦が浅く、若手社員という位置付けだった麻生さんが管理職になるとあって、当時は周囲からのプレッシャーもそれなりにあったようです。
麻生さん「やっぱり昔から働いている人たちからすると、なぜ麻生が課長になったのかと疑問を持たれることも多かったと思います。そのため、当時はなんとかして自分の存在価値を指し示さなければならないと躍起でしたね。周囲が認めてくれるような成功事例や結果を積み上げなければ、当然信頼していただけない環境だったので、とにかくいろいろとチャレンジしてみて、一つひとつ成功を積み重ねていくという感じでした。」
現在は従業員数が社内の事業部でも最大となるリテール事業部を率いる麻生さん。日々、何を大事にしながら業務にあたっているのでしょうか。
麻生さん「今、私たちの事業部が目下取り組んでいるのが、2030年以降に訪れる脱炭素時代に向けての事業戦略とその実装です。今後、燃料の減販というのは必ず起きます。残存者利益もあるとは思いますが、最終的にはEVが台頭してくる可能性が非常に高く、いつそのタイミングが訪れてもおかしくありません。そうした状況になっても、今の営業利益を維持するにはどうすればいいか、デジタルマーケティングを駆使しながら、今と同じくらい、またはそれ以上の新規顧客を獲得していくような仕組みをどう構築するかなど、いろいろと構想しているところです。」
特に力を入れているのが、今後10〜20年後も残っていく商材や付随するサービスの開発です。
麻生さん「将来的に燃料の販売額が落ちたとしても、車を販売するという行為は無くならない。また、洗車や、タイヤ、車の整備やコーティングなどは、車がEVになったとしても変わらず必要となります。こうした商材を扱った事業を大きく広げることによって、燃油以外の領域で収益を上げていく環境をつくることができます。」
昨年からは、立石さん主導で中期経営戦略を考える「5カ年計画の策定」がスタート。事業部単位での戦略だけでなく、全社にまたがるブランディングや、事業間の連携やシナジー創出、労働環境のさらなる向上など、会社一丸となって「立石コーポレーション」の次の10〜20年の在り方を考える場となっています。
立石さん「5ヵ年計画を走らせるなかで、『ブランディングとは何か』という質問を社員からされた時に、ちゃんと答えることができない自分がいました。ネットで調べてみても、やっぱりなんだか定まらない。僕自身が一度ブランディングやマーケティングというものを体系的に学んだ方がいいと思い、都内の大学で開催されていたプログラムに通い始めました。」
大手企業の社員などと肩を並べてマーケティングやブランディングの基礎から応用的な内容まで実践的に学ぶことができたことで、経営者としての自信にもつながったという立石さん。プログラムを修了した今は、外部の専門家を副業人材として積極的に採用しながら、社内のマーケティングやブランディングに本腰を入れようとしています。
立石さん「プログラムを履修するまでは、仮に外部にマーケティング業務を委託したとしても『ちゃんと社内で成功に導ける力量がないまま進んでしまうのではないか』という不安がありました。マーケティングの基礎を理解したことで、そもそも自分たちが今どこにいて、どういう課題があるのか明確になったのが大きかったですね。自分の会社を見る目がよりシャープになっているのを感じましたし、副業人材を雇うという決断が最終的にできたのも、『これって感覚的におかしいと思う』とか、『こっちの方がいいんじゃないか』という話がちゃんとできるレベルに自分が至ったと思えたからだと思います。」
誰かのために一生懸命考え、決断して、行動した経験があるかどうか
こうしたプロセスの中で立ち上がったのが、今回新規で人材を募集する経営企画室。社内ではどのような役割を担う部署になるのでしょうか。
立石さん「この数年、組織体制を整備したきたことで、中途採用で部長陣や課長陣の顔ぶれがある程度揃ってきました。さらに、ここから先の組織の戦略を組み立てていくところには、副業人材の方に入っていただくことが決まっています。ただ、今から5〜10年後、今の部長陣が年齢的にも定年に差し掛かってきた時にどうするかというところも、今から組み立てておく必要がある。今回の求人はそこに種を蒔くというか、今後の経営企画などを一緒にやっていきたいという若手のメンバーに入ってきていただければと思っています。」
立て付け的には、他の部署と横並びというよりも、社長室に横付けされるような形。組織全体を俯瞰的に捉えながら、専門的な知識やスキルを持った副業人材からインプットを受けつつ、戦略の実装をしていきます。部署を横断した連携が必要になる場合も多いため、入ってきた社員の特性や関心領域をみながら、他部署にも出向し、現場での経験を積んでいただくことも想定しているそう。そのため、コミュニケーションにちゃんと時間をかけて、現場に納得してもらいながら物事を進めていく力が求められます。
立石さん「直接的な経営企画の経験の有無はそれほど重要ではないのですが、過去に本気で苦しんで考えていた経験がある人は向いているんじゃないかなと思います。どん底までいかないにしても、何かを一心に考えて結論を出したことのある人。悩み抜いた末に行動したことがあるかどうか。さらに、それが『自分のためだけじゃなくて家族のためにこういう決断をしました』とか、『こうやった方がお客さんが喜ぶと思ったんです』とか、誰かのためにやったとなると、なおさらうちの価値観と合っているのではないかと思います。」
脱炭素に向けた取り組みが加速し、ガソリン車の新車販売が実質ゼロとなるとされる2030年代に向けて、さらなる整理統合が予測されるガソリンスタンド業界。劇的な転換期を迎えようとしている業界で、持続可能な企業づくりを模索してきた「立石コーポレーション」は、現在どのような地点に立っているのでしょうか。
立石さん「ガソリンスタンド事業という枠で捉えてしまうと大きすぎるのですが、燃料費以外で捉えると、車の整備や車検サービス、フィットネスやコインランドリーなどの事業の合計の粗利率が全体の4割程度を占めています。すなわち、入社当時に目指していた燃料代のマージンが約半分くらいになったとしても経営を続けられる水準に、もうそろそろ到達するくらいにはなり始めています。
今後、ガソリン事業で差別化が難しくなっていったとしても、他の事業でそれを補完できるようにし、さらにその集客ツールとして燃料があるような形であれば、燃料の売り上げが減ったとしても経営を続けていくことができる。生活の中でのさまざまなサービスをパッケージで展開することで、他には負けない事業をつくれたらと考えています。」
「ガソリン事業が主幹事業だと、どうしても『将来大丈夫ですか』と心配されることが多かった」と語る麻生さんも、努力の成果が数字に現れてきたことで、将来の経営に期待を膨らませています。
麻生さん「もしかしたら、今後はフィットネスやランドリー以外の事業も展開していく可能性もありますし、会社の規模はどんどん大きくなると思っています。既存の事業にないものでも、弊社のサービスをご利用いただいている多くのお客様をいかに新しい事業につなげていけるかを考えれば、夢が広がりますね。そういった新しいチャレンジや、自分を成長させる機会に非常に恵まれているのが『立石コーポレーション』だと思っています。」
今回募集するのは、「立石コーポレーション」の次の20年に向けて切磋琢磨していくだけでなく、将来的には、自分たちの在るべき姿を一緒に模索していく仲間。来たるべき脱炭素の時代も、求められるガソリンスタンド企業とはどのようなものか。クリエイティブな発想で、チャレンジングな目標にも一緒にワクワクできる仲間をお待ちしています。
文 岩井 美咲
募集要項
[ 会社名/屋号 ]
株式会社立石コーポレーション
[ 募集職種 ]
経営企画室 幹部候補
[ 取り組んでほしい業務 ]
新設する経営企画室の幹部候補として、既存事業の事業拡大や新規事業の企画・推進、全社のブランディングなど、将来に向けた新たな価値を生み出して行く業務に従事していただきます。将来的には会社の経営幹部として活躍していただきたいと考えています。まずは会社全体の経営や各部署の経営状況の把握、必要に応じて現場理解なども進めながら、会社の中枢を支える役割を担っていただきます。
[ 雇用形態 ]
正社員
[ 給与 ]
年収450万円~(初年度) ※残業代を含まず(月平均残業時間23.37時間) ※決算賞与あり <平均昇給率> 2022年 4月:2.83% 2022年10月:2.31% 2023年 4月 :2.02% 2023年10月:1.43%
[ 勤務地 ]
長野県塩尻市
[ 勤務時間 ]
勤務時間 08:30~17:00
1年単位の変形労働時間制(週平均40時間以内)
※残業は月平均23.37時間です。
[ 休日休暇 ]
実質年休111日 =年間休日105日 + 計画有給5日 + 誕生日休暇1日
◆月8~9日(シフト)
◆年次有給休暇(入社3ヶ月目から付与)
※平均有給取得率 70.1%
◆慶弔休暇
◆誕生日休暇
◆結婚記念日休暇
[ 昇給・賞与・待遇・福利厚生 ]
◆給与改定/年2回(4月、10月)賞与/年2回(7月、12月)
◆厚生年金基金
◆通勤手当(上限なし)
◆扶養手当
◆有給休暇
◆副業制度(許可制度)
◆退職金制度(勤続3年以上)
◆報奨金制度(実績に応じて)
◆福利厚生施設(全国のエクシブ施設利用可)
◆無料駐車場完備
◆遠方からの移住の場合は引越し費用一部負担
◆マイカー通勤OK
◆各種イベント多数
◆定年60歳、65歳まで再雇用あり
◆試用期間3ヶ月
◆資格取得支援制度
◆無料駐車場完備
◆カー用品、ガソリンなどの社員割引あり(30~40%OFF)
◆当社運営フィットネスジム(ANYTIME FITNESS)優待利用(約35%OFF)
[ 応募要件・求める人材像 ]
応募資格不問 チャレンジ精神と将来的に会社の幹部候補として活躍したい気概のある方を歓迎いたします。
[ 選考プロセス ]
書類選考
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面接2回(リモート、現地)
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内定
※選考期間は約2週間程度を想定しています。
※取得した個人情報は採用目的以外には使用しません。
※不採用理由についての問い合わせにはお答えできかねます。
※取得した個人情報は採用目的以外には使用しません。
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[ その他 ]
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