
地域のオフィスや商業施設、工場・倉庫などの建設事業から、わたしたちの生活を支える公共インフラ事業の施工、不動産事業まで、長野県松本市を拠点に大小さまざまな事業を手がける「株式会社アスピア(以下、アスピア)」。1961年の創業以来、建設業を通して地域の景色をつくってきました。普段みなさんが何気なく目にしている会社や公共施設などの中にも、アスピアのみなさんが手がけたものがあるかもしれません。
コロナ禍の2020年には前社長であり現会長の百瀬方康(ももせ・まさやす)さんから、長男で現代表取締役社長の百瀬方洋(ももせ・ほうよう)さんへと世代交代。建設業にとどまらず不動産業など、挑戦的に事業を展開するなか、2024年には、会社のロゴマークをリデザインするとともに、ビジョンやブランドコピーなどを刷新し、社内の組織体制も新たに、今まさに会社は新章を歩み始めています。
そんな節目を迎えたアスピアが、次世代の建設業を担う地域の建設会社として描く未来を探るため、3代目代表取締役社長の百瀬方洋さん、経営企画室室長兼次世代戦略部部長の髙久耀(たかく・よう)さん、入社1年目で建設営業部の伏島史季(ふせじま・あき)さん、環境クリエイト(土木)部兼次世代戦略部係長の赤羽竜太郎(あかはね・りゅうたろう)さんの4人にお話を聞きました。
家業を継ぐつもりはなかったけれど

創業64年、130人以上の社員を抱えるアスピアを、5年前から3代目代表取締役社長として率いる百瀬さん。朗らかな笑顔で、社員ともフラットにコミュニケーションを取り、自らの代でビジョンや体制を刷新。今でこそ、先代が築き上げてきた会社を継ぐだけでなく、確実に新たな風を吹かせている百瀬さんですが、実はもともとは家業を継ぐ気は全くありませんでした。
現会長であり父の百瀬方康さんからも、会社を継いでほしいと言われたことはなく、大学進学で上京、そのまま都内で就職をし、自分自身で決めた道を進んでいました。
転機が訪れたのは2016年のこと。当時、東京で不動産会社の会社員として働いていた百瀬さんのもとを訪ねた方康さんが、アスピアを継がないかという話を持ちかけたのです。
百瀬さん「会社を継ぐ話をされる予感は全くなかったけど、かといってびっくりもしませんでした。可能性としては常にあることでしたから。自分がここまで生きてこられたのは、会社があってこそだから、頼まれたら断れないですよね。宿命というか」

こうして、百瀬さんは後継ぎになることを決心し、翌2017年には東京から松本へと戻り、2020年に正式に代表取締役社長に就任。図らずも、コロナ禍での代替わりとなりました。
百瀬さん「コロナ禍での社長就任は、僕にとってはよかったと思っています。さまざまな規制があり、外に出る用事や時間が減ったので、、社内にいることができましたし、会社についてゆっくりと考えたり、会社の仲間とコミュニケーションを図ることに専念することができました。うまくいかなくても、コロナのせいにすればいいか!くらいに考えていましたので。肩肘張らずにスタートを切ることができました」

コロナ禍という社会的状況が、後継ぎのプレッシャーを軽減しただけでなく、方康さんが会社としても個人としても、所属するさまざまな団体で、今も役職を担ったり会社の代表として参加。百瀬さんが経営に専念できるよう、後継ぎの土壌を整えてくれていたことも、スムーズな世代交代を後押ししました。
百瀬さん「今も父が会長として役割分担をしてくれていることで、僕は会社のこと、経営のこと、僕らしくやるべきことやこれから未来の新しいやるべきことに専念できています。父が社長だった時代に、きっと苦労したと思うんですよ。その苦労を知っているから、世代交代前にいろいろと準備をしていてくれたんでしょうね」
新ビジョンのキーワードは“分かち合う”
2024年、アスピアはロゴマークを新たにし、それに合わせてビジョンやブランドコピーなども刷新。リブランディングを行ないました。経営企画室の室長として、リブランディングに深く携わったメンバーの一人が髙久さんです。
実は髙久さんは百瀬さんと前職時代の同僚として出会い、2018年にアスピアに入社。同時に、縁もゆかりもなかった松本へと移住してきました。

髙久さん「リブランディングは、旧ロゴのサイズが使いづらいので新しくしたいという社内の広報担当の声からスタートしました。ロゴをデザインし直すにあたって、いろいろと周りの経営者の方にも話を聞いてみたら、ロゴを変えるならブランディングをしっかりした方がいいということになり、結果的に2年弱かかりましたね」
百瀬さん「もともとの企業理念もロゴマークも、耐久性のあるもので、全然古臭いとは思っていませんでした。ただ、30年前に考えたものなので、どうしても形骸化してきてしまうんですよね。だから刷新するにはちょうどいい時期だったのかもしれません」
リブランディングにあたっては、20~30代の若手メンバーがプロジェクトの中心となって進めました。プロジェクト内で全社員の声も聞いて進めたいという話になり、全社員参加型のワークショップも実施。社内での合意形成を取りながら進めていきました。
百瀬さん「会社の未来を考えるのに、世代が上の会社役員だけで考えていたら新しいものは生まれませんよね。それに、僕自身が会社の社員だったとしたら、会社の大事なことが知らないところで動いていくというのは嫌だと思ったんです」

こうして生まれた新しいビジョンが“「つくる」ことで、心を豊かにし、喜びを分かち合う世界を実現する”。会社の誰もがつくり手であり、やりたいとか変えたいと思ったことは声に出せば実現できる、そんな環境づくりにもつながっています。
百瀬さん「僕も考え方が変わってきたことですが、自分のやりたいことを会社のリソースを使ってやろうよ、みたいなことが経営理念を考えていくなかで出てきました。ロゴの刷新なども、自分が必要だと思ってやり始めたわけじゃないですか。『それやりたい』とか、『やってみようか』と声を上げられる会社でありたいと思います」
キーワードとして、取材中にも何度も二人の口から繰り返された「分かち合う」という言葉には、お客様や社内のメンバー同士はもちろんのこと、地域や関係企業、社員の家族など、関わり合うすべての人々と豊かさを分かち合いたいという思いが込められています。
髙久さん「僕は最近“豊かさ”を“居心地”という言葉に変換して考えています。社員が居心地よく働ける会社でありたいし、それぞれの人が居心地よく暮らしていける、住みたいまちをつくっていけたらいいなと」
また、このビジョンを目指していくための取り組みとして2024年10月に始動したのが「アスワクプロジェクト」です。「居心地の良いつながりと自分事に出会うまちづくり」をテーマにウェルビーイングやまちづくりの分野に詳しいゲストを招いて、参加者がワークショップ形式でこれからのまちづくりを探究していくイベント。
松本周辺地域だけでなく、県外からわざわざ足を運ぶ参加者がいたり、アスワクプロジェクトのイベントがきっかけで、アスピアの求人に応募する人の例も。これは予想外の出来事で、百瀬さんや髙久さんも驚いたといいます。

また、ビジョンだけではなく、組織内の体制も新たにし、不動産と建設の営業部を統合するほか、より円滑かつ活発なコミュニケーションを促すためにチーム制を採用。3人程度の少人数で構成されたチームで動くようになったことで、若手の社員が年の近いチームリーダーに相談したり、頼ることができるような体制を整えました。
体制を新たにしてからはまだ2か月ほどですが、すでに部署内でのディスカッションが活発になったという声や、部署を横断した横のつながりが強固になったという声が上がっています。
今後はリーダー同士のさらなる連携や、小さな単位で動くことによって、一人ひとりの責任感が増し、会社経営や社内教育に関わる社員が増えるといった効果が期待されています。
百瀬さん「もちろん、意識的に若手のメンバーに働きやすい環境を整えたいという部分はありますが、そもそも中小企業なので、若手に活躍してもらわないわけにはいかないんです。必然的なことでもありますね。チーム制を採用したことによって、若手社員がより安心して働けるようになるといいなと思います。その結果として先輩社員の皆さんも含めた全世代が働きやすくなると考えていますし、頑張ってくれる先輩方ももっともっとやりがいを感じて働ける良い職場にしていきたいです」
若手にも現場で活躍の場がある
建設業界では一般的に、実務経験が重視され、若手の現場での活躍が制限されしまいがちといいますが、アスピアでは年齢や性別、経歴に関係なく、一人ひとりに活躍の機会が与えられているのが特徴です。
環境クリエイト(土木)部で現場監督を任されている赤羽さんは、入社5年目。前職も同じ土木関係の仕事を経験されており、若手でありながらキャリアとしては10年目になります。赤羽さんがアスピアへの転職を決めた理由は明確でした。

赤羽さん「前職では大規模な公共工事などが中心で、若手にはなかなか現場で出番が回ってこなかったんです。当時から自分で現場を持って、現場監督をやってみたいという思いがありましたが、若手にはそのチャンスがなかったんですよね。アスピアでは小規模な工事も受注しているという話を聞いていたので、自分にも出番があると見込んで転職を決めました」
赤羽さんの希望通り、アスピアに入社してからはすぐに現場監督を任され、工事現場の司令塔に。これまでの経験と知識を活かしながら、現場を効率的に動かせるよう邁進しています。

10年のキャリアを積んだ今でも、仕事をするうえで、常にやったことがないことに挑戦することを心掛けているという赤羽さん。「挑戦なしでは成長しない」というのが赤羽さんのモットーです。建設業界でのトレンドをキャッチし、より現場が効率的に回るよう、新しい機械を取り入れられるように会社に提案することも。
そんなチャレンジ精神旺盛な赤羽さんは、今年の6月に新設された次世代戦略部の係長を兼務しています。次世代戦略部は、部署の垣根を超えて会社のこれからを考え、改善策や新たな制度などをより円滑に社内に反映させていくために発足しました。
赤羽さん「自分個人でできることはどんどん現場でやっていけばいいけれど、例えば機械の導入などは会社の力が必要です。次世代戦略部は、まだ新設されたばかりの部署なので具体的な成果はこれからですが、こうして声を吸い上げてもらえる場があるのはありがたいですね」
大好きなまちの“街並み”をつくる仕事
アスピアでは、赤羽さんのような実地での経験がある人以外にも、全くの業種違いから入社してくる若手スタッフが増えているといいます。

伏島さん「大学では理学部の生物学科だったので、建設業は全くの畑違いでしたが、アスピアが地域でいつも目にしているような自分の知っている建物を施工していることを知って、大好きな松本のまちの街並みをつくれるっていいなと思ったんです」
やわらかな笑顔と落ち着いた口調でそう話すのは、今年新卒で入社した建設営業部の伏島さんです。千葉県出身の伏島さんは、信州大学進学を機に松本へ移住。もともとは松本で就職するつもりはありませんでしたが、4年間の大学生活の間で松本のまちや出会った地域の人との縁を大事にしたいと、松本で就職先を探す中で、インターン経験のあったアスピアが就職先の候補に上がりました。
専攻していた分野からすると全く異なる業種への就職。最終的な決め手となったのは、インターンの時に感じたアスピアの社員の人の良さだったと言います。
伏島さん「インターン終了時にA4用紙で2枚ぐらいある報告書の提出があったんですけど、提出して終わりじゃなくて、それに対して現場で関わった社員さんから、私の書いた文章と同じぐらいの分量でお返事をいただいたんです。正直、入社するかどうかも分からないような学生に対して、そこまで時間を割いてくれるんだって、とても嬉しかったですね」

伏島さんは、就職してまだ5か月あまり。現在は同じ部署の先輩社員から仕事を教わりながら、今の環境で自分にできることは何かを探り、自分なりの営業スタイルを模索中です。建設業界という今まで触れてこなかった世界に足を踏み入れたのも、営業職に就いたことも、伏島さんにとってはそれ自体が挑戦で、自分のなかに新しいものを探したかったという気持ちが強かったからなのだそう。

伏島さん「会社自体が新しい取り組みに挑戦し続けているので、そういう社風に共感というか、惹かれましたね。自社でイベントを開催していたり、このカフェテリアも新設したり、社内体制もより働きやすいように変えていたり、社員としてもこれからのアスピアに期待感を持っています」
誰かの“やりたい”を応援し、多様性を受け入れる地域へ
松本の地で創業し、地域からの信頼あって幅広い事業を展開、継続してきたアスピア。最後に、百瀬さんに地域への思いを伺いました。
百瀬さん「目指すのは本当の意味で多様性を受けられるような地域。年代とか性別とか、国籍とか関係なく、誰かが挑戦したいと言ったことに対して、いいじゃんって受け入れられるような地域であれるといいですよね。そうして、このまちで何かをやりたいと思った時に、アスピアに相談に行こうと思ってもらえたり、そういったチャレンジを応援できるような場だったり、会社でありたいなと思います。僕自身が一人では何もできないタイプだと思っているので、いろんな人の価値観や考えを受け入れながら、豊かさを分かち合っていけるといいと思います」

アスピアの強み一つは、土木事業から建設事業、不動産事業まですべてを一貫して手がけていること。例えば、まちなかに空き地があればそこに建物を建て、空き物件があればテナントを誘致することができ、まさにまちの景色をつくることができる仕事だと、百瀬さんは言います。
百瀬さん「先日、高校生が探究の授業の一環で来てくれた時に、花壇とその隣にベンチをつくりたいっていう話をしてくれました。散歩しているおばあちゃんとかもそこに腰掛けてもらったり、みんなが水あげて成長する姿をみんなで見守るのがいいよねというような未来を想像していて、そういうのも一つの景色だなと。ほっこりしますよね。そこで見たいシーンを描き、つくることができる」
百瀬さんのいう“景色”とは、単純に建築物を建てるという意味合いだけではなく、日常の中の人々の行動や、ささやかな出来事、そんなシーンのことを指しているのではないでしょうか。
社内でも、地域でも見たい景色をつくるため、新たなビジョンを掲げ、それが少しずつ社内に浸透しつつある3代目のアスピア。これまで地域で培ってきた信頼と実績を礎にしつつ、会社と地域の新しい時代をじっくりと丁寧に育んでいきます。
文 杉田映理子
編集 岩井美咲
写真 山田智大
募集要項
[ 会社名/屋号 ]
株式会社アスピア
[ 募集職種 ]
①営業職
②建築施工管理職
③土木施工管理職
④意匠設計職
[ 取り組んでほしい業務 ]
①営業職:長野県内の建築物の新築・改修・解体などの工事の受注獲得
②建築施工管理職:当社が受注した建築物の新築・改修・解体などの工事現場において、現場監督として品質、安全、予算、工程などの管理全般を担う
③土木施工管理職:当社が受注した土木工事現場において、現場監督として品質、安全、予算、工程などの管理全般を担う
④意匠設計職:鉄骨造や木造など幅広く建築物の意匠設計(設計計画、構造設計や設備設計を総合的に統括)を担う
[ 雇用形態 ]
正社員(試用期間6か月)
[ 報酬 ]
①月額260,000円~ (固定残業代として45時間分の時間外手当65,000円~を支給 )
②③④月額286,000円~ (固定残業代として60時間分の時間外手当89,000円~を支給 )
※保有資格やご経験により個別に決定します。
[ 勤務地 ]
長野県松本市宮渕1-3-30
※②③は長野県内の担当現場に直行直帰で勤務
[ 勤務時間 ]
8時~17時(休憩時間12時~13時)
[ 休日休暇 ]
週休2日(土・日)
※隔月で第一土曜日のみ出勤あり、年間休日118日(2025年実績)、祝日、GW、夏季休暇、年末年始、慶弔休暇、有給休暇、アニバーサリー休暇
[ 昇給・賞与・待遇・福利厚生 ]
・昇給年1回(6月)
・賞与年2回支給(8月、12月)
・通勤手当(上限なし)
・家族手当
・資格手当
・役職手当
・社会保険完備
・資格取得支援制度
・社員表彰
・住宅建築補助制度、他多数
[ 応募要件・求める人材像 ]
<必須要件>各職種の経験2年以上、普通自動車運転免許(AT限定可)必須
<求める人物像>長野県の街づくりに主体的に関わりたい方
[ 選考プロセス ]
書類選考→会社説明(リモートor対面)→面接1回(対面)→内定
[ 応募締切 ]
充足次第終了
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